福井県立藤島高校(福井市)が、今春の大学入試で提出した調査書の出席状況の欄に、出席停止とした3年生について「コロナ感染症の疑い」と記載していたことがわかった。県教委によれば、同様の内容を記載した県内の高校が複数確認されたとしている。
県教委には、面接担当者から、感染していないのに「調査書に感染したと書いてある」という趣旨の質問をされたと、保護者から抗議も寄せられたという。
県教委によれば、新型コロナ感染の拡大に伴い、文部科学省は体調不良、感染を防止するなどの理由で欠席した生徒を「欠席」ではなく「出席停止」とするよう通知した。出席停止の理由の記載内容については、各学校の判断に委ねられているという。
藤島高校では3年生のうち体調不良などで休んだ約150人について出席停止とした。感染者はいなかったが、調査書に出席停止の日数とともに理由として一律に「コロナ感染症の疑い」と記載したという。
同校の松田透校長は、出席停止の理由の表記について「『停学』などと疑問をもたれ、生徒の不利益にならないよう理由を明確にしたが、配慮を欠いた表現で受験生と保護者にご迷惑をおかけした。申し訳ない。一律の表現でなく、一人ひとりに応じた記載にすべきだった」と話した。同校は県内有数の進学校。
県教委は近く、同様の表記をした県内の他の高校にも修正を促すとしている。
関西大の赤尾勝己教授(教育学)は「調査書は内申点や受賞歴など、受験生の努力や成績が書かれるべきもの。そこに、本人の努力ではどうにもならない事柄を書くのは明らかに不適切」と指摘。「受験生の不利益につながりかねないことを高校が書く必要性が分からず、高校の教育観も問われる」と話した。(佐藤孝之)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル